透明幻想 ―物を置くということ―
土屋 穣 展 YUTAKA TSUCHIYA

2004年 11月1日(月)〜11月14日(日)
A.M.11:30-P.M.7:00 (LAST DAY -P.M.5:00)
水曜日休廊

過去の展覧会データ→2002 20001999

トキ・アートスペース
〒150-0001 東京都渋谷区神宮前3-42-5サイオンビル1F
TEL/FAX 03-3479-0332
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<作家コメント>

『物を置くということ』

一人の幼児が積み木遊びをしています。いろいろな形の中から、こだわりながら選択し、熱心につなげ、ある時は、道路になり、またある時は、線路のように長く伸び、橋がありトンネルある情景が創作されています。つなげられた積み木の上を、(ブーブー)だとか(ガタガタ)と言いながらひとつのお気に入りの積み木を、車や電車に見立てて走らせています。ひとつの積み木に感情移入し、その積み木に命を吹き込んだように話しかけ、ドラマを仕立てます。
 ルドルフ・シュタイナーの感情・感覚教育の中に12の感覚の区別とそれぞれの感覚の育成を唱えています。その12番目の感覚に『固体感覚』という感覚があります。これは、例えば私たちも子供時代に思い当たる、思い出の石のようなものです。他人には、何の価値もないその辺に転がっている石が、その人にとっては、かけがえのない、いとおしいという感覚。大切な物に対する高まった感覚。
 この感覚は、芸術家が作品に対して思いする感覚に近いように思われます。『物を置くということ』を改めて考えてみると、その物(作品)へ思い、高まる感情、微動して息遣いしているかのように思う作品への愛着。その物(作品)と周辺との高密度な空間。その物体が、変質を見せる場。作品をある空間に置くという時に、私は、空間全体、または、その置かれた場の周辺にある特別 な磁場を感じます。

 上の図は、大学時代に記した図です。大地の上には、重量と質量とを感じさせる物体があり、その物は、陰影を放ち、時間があります。その下方の地下には、空間のようであり、同形の輪郭だけの図が描かれています。
 この図は、前回の『消失点の向こう側』の図から生まれたもので次の文章より創作したものです。

私が彫刻に出会い彫刻へ興味するところは、量塊の表面と内部との緊張関係であり、量 塊と量塊の融合が起こすうねりや動勢である。そして、この内部に流れるエネルギーの方向性を読み取り表面 を決定させている作家の視線であった。私が捉える物質、あるいは物の表面は内部内の構造により位 置決定される。表面は、内部の状況を顕し、内部内の構造の変化により表面自体も変化する。

『物体と空間との緊張ある拮抗、その振動作用』
『物体は、いっぱいに凝縮された空間』
『空間は、いっぱいに拡散された物体』
『私の為す術は、この曖昧を位置づけること。そして尚、見つめること』

さて表面の位置づけが必要となり、構造の位置づけが必要となる。
例えば内部空間と外部空間の間に積層という形で表面と構造の関係が顕れるならば、その積層の表層と次の層との間にその関係を顕在化させる。物体はいっぱいに凝縮された空間。空間はいっぱいに拡散された物体。その物体の内部の顕在化を思考する。特に表面 は内部構造により位置決定され、表面は内部内の状況を顕し内部の構造の変化により表面 も変化する。私の作品の構造は連続あるいは、連鎖性を持つものとして位置づける。それは一単位 の集合でもあり、そのひとつは断片であるかのようで、そのひとつは全体をも包み込む断片である。

土屋 穣
東京芸術大学彫刻科卒業 
東京芸術大学大学院博士課程修了

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